今から遡ること数十年前の2002年5月、チェコ共和国で開催された国際メディカルラリーに当センターの医師・看護師が参加し、病院外での救急傷病者に対する観察・処置の能力向上・標準化された医療が実践されること、及びチーム医療の重要性を強く認識しました。そこで、2002年10月29日に第1回千里メディカルラリーを開催しました。これが日本で最初に開催されたメディカルラリーです。その後は、主に大阪北摂地域にて毎年開催してきました。この千里メディカルラリーでは、全国の救命救急センター、JICA(日本国際協力機構)、自衛隊医療班など、幅広い参加チームがあり、医療技術の向上だけでなく、様々な医療関係者の団結を深める場となっております。当初、病院前救護の標準化・医療の質の向上を主な目的として開催されてきました。しかし、近年、多くの地域で、ドクターカーやドクターヘリが運用され、標準化された病院前救護の教育コースも整備されてきました。これからのメディカルラリーの目的は、社会情勢(高齢化医療など)や、社会現象となった事例を振り返り、救急医療従事者の情報共有の場として、発展していくことが必要と考えております。第19回大会より、日本救急医学会・日本災害医学会のご後援をいただき、監修もお願いしております。学会が"頭を使う"学術集会とすれば、千里メディカルラリーは"体を使う"学術集会として、これからも、日本の救急医療の発展に少しでもお役に立てるよう精進していく所存でございます。
この企画を通して、多くの命が救われ、また、多くの救急医療従事者が、自信を持って、後悔のない現場活動ができること、そして、職種を超えた関係を構築していくことができれば、運営側として最大の喜びであります。
千里メディカルラリーの見学は自由ですので、お時間のある方はゆっくりとご覧いただければ幸いです。

大阪府済生会千里病院 千里メディカルラリー運営委員会一同