診療科のご案内
診療科のご案内CLINICAL DEPARTMENT

消化器外科

当科の特色

外科(消化器外科・乳腺内分泌外科)の特色消化器の悪性疾患を中心としつつ、緊急良性疾患に対応した診療を行っています。大阪府がん診療拠点病院に課せられた5大がんのうち、胃、大腸、肝臓に加え、胆のう・膵臓などのがんを診療対象としています。胃、大腸は内視鏡治療(消化器内科と協力)から、腹腔鏡手術、さらに抗がん剤治療も消化器外科が中心に診療を進めています。肝胆膵領域は胆石に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術から高難度の肝切除術、膵頭十二指腸切除術にも対応しています。

チーム医療

医療を支えるには多職種からなるチーム医療が不可欠です。当院では積極的にチーム医療を行って患者さんの早期回復をサポートしています。

手術 根治性を第一に考えています。その上で腹腔鏡を用いた手術などできるだけ少ない侵襲の手術を行っています。特に大腸手術に対する治療は、欧米のERAS(術後早期回復強化)という術前・術後のプロトコール(治療計画)を取り入れ、当院独自のERASを開発し、患者さんの早期離床・早期退院を実現しております。令和3年度の手術症例数は、消化器外科手術は561例で全身麻酔が430例を占め、そのうち腹腔鏡手術は252例でした。
抗がん剤治療 Cancer Boardを開催して治療方針の検討を行っています。化学療法は主に外来化学療法室で行い、医師、薬剤師、看護師からなるチームを中心に、チームで関わり、安全および就労に対してもサポートできるように努めています。
緩和ケア ~病気に伴う「心と体の痛み」を和らげること~
病気自体の症状のほかに、痛み・全身倦怠感など様々な身体的症状や落ち込み・不安・悲しみ等の精神的な苦痛、そして病気により生じる経済面・仕事の継続などの心配事などを、少しでも和らげるために緩和ケアがあります。
そのため、病気の治療と両輪で行う事を薦めています。
「緩和ケア」はあなた自身のために、そしてあなたの大切な方のためにあります。
専門外来 肝臓・胆のう・膵臓、大腸・肛門、胃・食道、ストーマ外来の専門外来を行っています(曜日指定、予約必要)。
診療所や
病院との連携
登録医をはじめとする診療所の先生方から依頼があれば、いつでも診療し、状態が安定すれば、また紹介医にもどっていただくよう努めています。手術後は、地域連携パスを用いて診療所の先生と当院と協力して、患者さんを診療しています。
さらに、より高度な診療が必要な場合、消化器疾患については大阪大学大学院病態制御外科(消化器外科)と連携をはかっています。
また、地元医師会との定期的な臨床検討会を開催しています。

緩和ケアチーム(チーム医療)当院にはさまざまな医療チームがありますが、その中で横断的な医療チームである周術期ケアチーム、感染対策チーム、緩和ケアチームは消化器外科医師が中心となり、病院全体を支えています。

 

大腸手術を受ける方へ~ERASプロトコールについて

術後早期回復のためのERAS(イーラス)プログラムのご紹介

当院外科で採用しております、大腸手術の患者さん向けのシステムをご紹介します。
胃腸の病気が見つかり、腹部手術を受けることになったとしたら、どのくらいの入院期間になるかということは、心配なことの一つです。ひと昔前までは、どのような病気であっても術前数日、術後も4~5日は絶飲食でベッド上の安静が安全であるという管理が標準でした。近年は慣習に似た管理の一つ一つが見直され、よりストレスが少なく、より入院期間が少なくなる工夫がされています。
ERASとはEnhanced Recovery After Surgeryの頭文字をとった略語です。2001年に欧州臨床栄養代謝学会でERASに関する研究グループが組織されてから、その概念が普及してきました。術後患者が退院できない要因として「食べられない・動けない」に注目し、これを回避するための周術期管理を行うものです。ここ数年、国内の外科系学会や栄養系の学会で主題としてよく取り上げられ、大学病院やがんセンター系の施設からの安全性の報告も多くなり、徐々に採用が広まっていますが、伝統的な周術期管理の常識との差もあり、まだまだ施設も限定的です。当院からも学会活動(*1)を通じて積極的に広報しております。
多職種の力が必要なため、当院では早期からERASチームを結成しております。当院での流れをご提示します。

  1. 外来看護師によるプログラムの説明:術前術後の流れを外来特別予約(30分)でご説明します。
  2. 入院までの日常生活の中で、体力づくりをお願いしております。そのための体力測定器を貸与いたします。
  3. 通常、手術前日に入院です。病棟看護師や薬剤師から、プログラムに沿った説明を再度いたします。
  4. 術当日朝、3時間前まで栄養剤や水分を摂取していただき、脱水を防ぎます。
  5. 手術中は麻酔薬や他の薬品も体に負担の少ないものを優先して選択しています。
  6. 術後夕方からベッドを起こして飲水やガムを食べていただきます。
  7. 翌日から提供食を開始します。
  8. 術後腸管運動の回復の妨げになるような過剰な点滴を避け、術後の痛みを投薬でコントロールしながら早い段階で歩行を再開します。
  9. 退院までの一定期間、理学療法士によるリハビリ指導を行います。

長期入院は必ず筋力が落ちてしまい、退院後の回復力も低くなってしまいますので、手術後10日程度での退院目標を設定しています。ご高齢の患者さま、ほかの病気をお持ちの患者さまもおられますので、すべての患者さんに適用されるわけではありませんが、おひとりおひとりの状況に合わせてご提案いたします。
「早く日常生活に戻りたい」という方からだけでなく、「心配な入院生活で多職種からのサポートが励みになった」という感想もいただき、こちらも勇気をいただいています。

ERASについての当院の活動・業績

  1. 真貝竜史、深田唯史、福﨑孝幸ほか;術翌日から食事摂取を開始するERASプロトコールにおけるPONV対策。第54回日本外科代謝栄養学会学術集会(2017年7月新潟)
  2. 真貝竜史;患者さんに「やさしい」大腸がん治療とはなんでしょう?~当院のERASプロトコールのご紹介をもとにみなさんと考えましょう~。北千里地区公民館市民健康講座(2017年6月吹田)
  3. 真貝竜史;ERASパスに組み入れたエレンタール服用指導と服用率、栄養評価の検討。第32回日本静脈経腸栄養学会(2017年2月岡山)
  4. 真貝竜史、宮垣博道、福﨑孝幸ほか;ERASプロトコール適用鏡視下大腸切除術における術中輸液量制限と、術後アウトカムの関連。第29回日本内視鏡外科学会総会(2016年12月横浜)
  5. 真貝竜史、福﨑孝幸、前浦義市;術翌日から食事摂取を開始する大腸癌ERASプロトコールでの周術期合併症。第71回日本大腸肛門病学会学術集会(2016年11月三重)
  6. 真貝竜史、太田博文、福﨑孝幸ほか;大腸手術症例へのERASプロトコール適用は妥当か~高齢者の逸脱状況と鏡視下手術の意義について考察する~。第71回日本消化器外科学会総会(2016年7月徳島)

診療実績

手術実績

2019年 2020年 2021年
消化器外科手術症例数 738 595 561
 そのうち全身麻酔 581 430 430
 そのうち腹腔鏡手術 252 230 324
  胃がん 34 24 23
  結腸がん 62 38 34
  直腸がん 38 41 32
  腸閉塞 31 22 29
  虫垂炎 95 69 81
  鼠経・大腿ヘルニア 196 198 143
  肛門手術(痔、直腸脱) 35 28 28
  胆石症・胆のう炎 158 90 112
  肝がん・転移性肝がん 5 5 6
  膵がん・遠位胆管がん 11 6 4

新入院患者数

2019年 2020年 2021年
新入院患者数(人) 1089 838 749

施設認定

  • 日本外科学会外科専門医制度修練施設
  • 日本消化器外科学会専門医修練施設
  • 日本病態栄養学会認定栄養管理・NST実施施設
  • 日本臨床栄養代謝学会認定教育・NST稼働施設
  • 日本大腸肛門病学会認定施設
  • 日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会ストーマ認定施設
  • 日本がん治療認定医機構認定研修施設

スタッフ紹介

福﨑 孝幸
副院長 兼 がん総合診療センター長 兼 医療安全管理責任者

専門分野
消化器外科
大腸肛門病
ヘルニア
所属学会
日本外科学会
日本消化器外科学会
日本内視鏡外科学会
日本大腸肛門病学会
日本臨床外科学会
日本ヘルニア学会
日本がん治療認定医機構
近畿外科学会
認定
日本外科学会認定医・専門医・指導医
日本消化器外科学会認定医・消化器外科専門医・指導医
日本大腸肛門病学会認定専門医・指導医
日本がん治療認定医機構認定医
近畿外科学会評議員
厚生労働省臨床研修指導医養成講習会修了
身体障害者福祉法指定医
緩和ケア研修会修了

武元 浩新
主任部長

専門分野
消化器外科
所属学会
日本外科学会
日本消化器外科学会
日本大腸肛門病学会
日本消化管学会
日本臨床栄養代謝学会
日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会
日本がん治療認定医機構
近畿外科学会
認定
日本外科学会認定医・外科専門医・指導医
日本消化器外科学会認定消化器外科専門医・指導医
日本大腸肛門病学会認定大腸肛門病専門医・指導医・評議員
日本消化管学会認定胃腸科専門医
日本臨床栄養代謝学会認定医・指導医・評議員・代議員
日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会ストーマ認定士
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
近畿外科学会評議員
緩和ケア研修会修了

横山 茂和
部長

専門分野
肝胆膵外科
所属学会
日本外科学会
日本消化器外科学会
日本肝胆膵外科学会
日本内視鏡外科学会
日本膵臓学会
日本胆道学会
日本癌治療学会
日本がん治療認定医機構
認定
日本外科学会認定医・外科専門医・指導医
日本消化器外科学会認定消化器外科専門医・指導医
日本肝胆膵外科学会高度技能専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
緩和ケア研修会修了

鈴木 玲
副部長

専門分野
大腸肛門外科
所属学会
日本外科学会
日本消化器外科学会
日本内視鏡外科学会
日本大腸肛門病学会
日本臨床外科学会
日本ヘルニア学会
日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会
日本癌治療学会
日本救急医学会
日本がん治療認定医機構
関西STOMA研究会
日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会
認定
日本外科学会外科認定医・外科専門医
日本消化器外科学会消化器外科専門医・指導医
日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医
日本内視鏡外科学会技術認定医(消化器・一般外科)
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
緩和ケア研修会修了

木戸上 真也
副部長

専門分野
消化器外科
所属学会
日本外科学会
日本消化器外科学会
日本胃癌学会
日本食道学会
日本内視鏡外科学会
日本静脈経腸栄養学会
日本癌学会
外科系連合学会
認定
日本外科学会専門医
日本静脈経腸栄養学会 NST医師教育セミナー修了
JATEC修了
緩和ケア研修会修了

小田切 数基
医長

専門分野
消化器外科
所属学会
日本外科学会
日本消化器外科学会
日本緩和医療学会
認定
日本消化器外科学会消化器外科専門医
緩和ケア研修会修了

大東 弘明

専門分野
消化器外科
所属学会
日本外科学会
日本消化器外科学会
日本消化器病学会
日本肝胆膵外科学会
日本膵臓学会
日本臨床外科学会
近畿外科学会
認定
日本外科学会認定医・専門医・指導医
日本消化器外科学会認定医・指導医・特別会員
日本消化器病学会認定医・専門医・指導医
日本肝胆膵外科学会指導医・特別会員
日本膵臓学会膵疾患外科治療特別会員
日本臨床外科学会評議員
近畿外科学会特別会員
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